「あしあと」という詩をご存知ですか?
「あしあと」という詩をご存知でしょうか。
Footprints という詩で、マーガレット・F・パワーズというアメリカ人女性
の作った詩です。
「あしあと 多くの人を感動させた詩の背後にある物語」(太平洋放送協会刊
1996年)に掲載されています。
まずその詩を紹介いたしましょう。
「あしあと」
ある夜、私は夢を見た。私は、主とともに、なぎさを歩いていた。
暗い夜空に、これまでの私の人生が映し出された。
どの光景にも、砂の上に二人のあしあとが残されていた。
一つは私のあしあと、もう一つは主のあしあとであった。
これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、
私は砂の上のあしあとに目を留めた。
そこには一つのあしあとしかなかった。
私の人生でいちばんつらく、悲しいときだった。
このことがいつも私の心を乱していたので、私はその悩みについて主にお尋ね
した。「主よ。私があなたに従うと決心したとき、あなたは、すべての道にお
いて私とともに歩み、私と語り合ってくださると約束されました。
それなのに、私の人生の一番辛いとき、一人のあしあとしかなかったのです。
一番あなたを必要としたときに、
あなたがなぜ私を捨てられたのか、私にはわかりません」
主はささやかれた。
「私の大切な子よ。私はあなたを愛している。
あなたを決して捨てたりはしない。ましてや、苦しみや試みのときに。
あしあとが一つだったとき、私はあなたを背負って歩いていた。」
ついでに英語の原詩も紹介します。
Footprints
One night I dreamed a dream.
I was walking along the beach with my Lord.
Across the dark sky flashed scenes from my life.
For each scene, I noticed two sets of footprints in the sand,
one belonging to me and one to my Lord.
When the last scene of my life shot before me
I looked back at the footprints in the sand.
There was only one set of footprints.
I realized that this was at the lowest and saddest times of my life.
This always bothered me and I questioned the Lord about my dilemma.
"Lord, you told me when I decided to follow You,
You would walk and talk with me all the way.
But I'm aware that during the most troublesome times of my life there
is only one set of footprints.
I just don't understand why, when I needed you most, You leave me."
He whispered, "My precious child, I love you and will never leave you
never, ever, during your trials and testings.
When you saw only one set of footprints
it was then that I carried you."
いかがでしょうか。
クリスチャンではない方には違和感が残るかもしれません。
でもそれを乗り越えて、じっくり味わって感じたことをお教えください。
不思議な慰めといやしを与えられる詩だと思います。
この詩を初めて読んだのは、もう20年も前のことでした。
この詩は確か作者不詳となっていたと思います。
不思議に心に残る詩でした。
それから何度この詩に出会ったことか。
「あしあと」というこの本を読んでなぜこの詩が多くの人の感動を呼び起こす
のか、少しわかった気がするのです。
こんな話しが紹介されていました。
夫(ポール)が事故で重傷をおい、集中治療室で寝ていたときに、朝早く看護
婦がやってきて夫に尋ねました。
「パワーズさん、あなたと奥さんと娘さんのために、祈らせていただいてよろ
しいでしょうか」
ポールがうなずきましたので、看護婦は祈りました。
祈り終わったあとに、詩を書いたカードを取り出し、夫の手を握って静かに次
の詩を読みました。
看護婦は読み終えると、夫を見つめていいました。「私はこの詩の作者を知り
ません。作者不明なのです。」
ポールは弱々しく手を上げて言いました。「私は知っています。作者を知って
います。」
看護婦はクスリのために意識がもうろうとしているのだと思いました。しかし
、ポールはもう一度言いました。
「私は作者をとてもよく知っています。……私の妻です。」と。
この詩は1964年に書かれた詩なのですが、その後、引っ越しのときに間違
って配達されて行方不明になってしまった荷物の中に入っていました。それが
い
つのまにか誰かの手によって「作者不詳」ということで発表され、有名になっ
てしまいました。
それがこのような形で作者の夫を励ます詩となって作者に戻ってきたわけです
。