タゴールの詩と祈り その1


インドの詩聖タゴールはヒンズーの宗教的な背景のもとに多くの優れた詩を残
していますが、その詩の中から「祈り」の形式をとったものがいくつもあり、
それらはキリスト教的な祈りとしてもとても優れているものです。その中から
いくつかを拾ってみましょう。

危険から護られるように祈るのではなく、恐れることなく、直面しよう。
私の苦しみの納まることを願うのではなくそれを克服する心をこそ願おう。
人生の戦場で同盟軍を求めるのではなく、われわれ自身の力をこそ求めよう。
すくわれることを心配しながら求めるのではなく、わたしの自由を勝ち取る忍
耐をば望もう。
わたしが、自分の成功のためにのみあなたの慈悲を当てにする卑怯者ではなく
、わたしの失敗の中にあなたの手の握りを発見する勇者でありますように。
  「果物採取」より

この詩はキューブラ・ロス著の「死ぬ瞬間」という古典的な名著の第1章「死
の恐怖について」の扉に引用されていた詩です。ロスはこの書の章のはじまり
の扉にタゴールの文を引用しています。
わたしをしてタゴールの詩に関心を呼び起こさせたのはこれらの引用文であり
、取り分けてこの第1章の扉の詩でありました