「ある友からの手紙」V.F.パワーズ


「あしあと」の詩で名高いV.F.パワーズの詩に次のようなものがあります。これもなかなかいい詩と
いうか祈りです。

ある友からの手紙

どんなに、わたしが、あなたのことを心にかけているか、
そして、どんなにわたしのことを、
もっと、あなたに知ってもらいたいと思っているかを伝えたくて、
わたしは、今、この手紙を書いています。
あなたが、けさ、目覚めたとき、
わたしは、さんぜんと光り輝く日の出を、窓越しに見せて、
あなたの注意をひこうとしました。
しかし、あなたは、急いで去ってしまいました。
そのあと、わたしは、
あなたが友人たちと話しながら歩いているのを見つけました。
わたしは、あなたに、暖かい日光をいっぱい浴びせました。
そして、大気中に、自然の甘美なにおいを漂わせました。
しかし、あなたは、急いで去ってしまいました。
わたしに、気づくこともなく。

それから、わたしは、大竜巻のなかで、あなたに叫びました。
わたしは、あなたのために、美しい虹を空に描きました。
その時、あなたは、わたしをちらっと見ました。
それでも、なお、あなたは急いで去ってしまいました。
その夜、わたしは、月の光を、あなたの顔にこぼし、冷たいそよ風を送りました。
あなたを休ませ、あなたのおそれを取り去るために。
わたしは、眠っているあなたを見守っていました。
あなたと同じ思いを味わいながら…………。
あなたは、かすかに、わたしがすぐにそばにいることに気づきました。
わたしが、あなたを選んだのです。
わたしは、あなたに、特別な使命を与えています。
あなたが、すぐに、わたしに話しかけてくれることを願っています。
わたしが、あらしのなかから、あなたを救い出したのです。
他の人たちは、暁を見ることはできませんでした。
わたしは、いつもあなたのすぐそばにいます。
わたしは、あなたの友です。
あなたをこの上なく愛しています。

                   あなたの友、イエス。

「あしあと」もそうですが、この詩も、イエスや主の視点から書かれています。
前に紹介したことのある J.D.フリーマンの「わたしはそこにいます」という詩もそうでした。
宗教詩の中にはけっこうこういう詩があるのですね。
そしてそれは不思議な慰めやいやしを与えてくれます。