クリストファー・ロビンちゃんの「夕の祈り」

夕べの祈り

小さな子が、ベッドのそばでひざまづいて、
小さな両手の上に、ちいさな金髪のあたまがたれている。
しずかに! シッ! 誰もものをいってはだめですよ!
クリストファー・ロビンちゃんは、今、お祈りをしているのです。

お母さんにお恵みをください。ほんとにそうです。
こんばんのお風呂はおもしろかったかな?
水はうんと冷たかったし、お湯はうんと熱かったな。
あ、そうだ! お父さんにお恵みをください。——すっかり忘れていたよ、ぼく。

指をちょっとあけてみれば、
あそこのドアのところにナニー姉ちゃんのおねまきがみえるよ。
きれいなブルーだ、だけどズキンがついていないな。
そうだ! ナニー姉ちゃんにお恵みをください。
 よい子にしてください。

ぼくのおねまきはズキンがついている。
 それでぼくはベッドにねころぶんだ。
ズキンをすっぽり頭にかぶってしまって、
眼をつむって、小さくまるまってしまえば、
ぼくがここにいるのは誰にもわからないんだ。

そうだった! ありがとう神さま。
 きょうはほんとによい一日だった。
ほかに何かいうことあったかな?
ぼく、「お父さんにお恵みください」といったけど、
それはどんなことかな?
あ、そうだ! いまごろ思い出した。
 神さま、ぼくにお恵みをください。

小さな子がベッドのそばでひざまづいて、
小さな両手の上に、ちいさな金髪のあたまがたれている。
しずかに! シッ! 誰もものをいってはだめですよ!
クリストファー・ロビンちゃんが、今、お祈りをしているのです。

A.A.ミルンによる