献血

私の学校では2月のはじめの土曜日に学校のバザーが開催されます。
これは保護者の会(いわばPTA)主催で、生徒はお手伝いをします。
このときに献血車が学校に来ていました。

私は実はこどものときに輸血によって生きながらえたのでして、献血は恩返しだと思って毎回必ず献血をしていましたが、何年か前に法律の改正があって、輸血をされた人は献血ができなくなってしまいました。
それまでに何十回とことあるごとに献血をしてきたのにこの法改正は納得がいかないのです。

まあ、それはともかく、献血は16歳から可能となります。
ということは高校生は献血ができるのですね。
このバザーの日にはじめて献血をしようとする生徒がでてくるのです。
この献血者の周辺にいて献血しようとする生徒を観察しているとおもしろいというか、生徒たちがかわいいというか、興味ある光景に出くわします。

まず献血車周辺をウロウロする生徒が現れます。

自分は献血することに踏み切れずに献血車の周りをうろうろして献血をして出てきた友達にどうだったと聞いているのです。
そのうちに意を決して献血車に乗り込みます。

最初にテストされます。
血液の比重検査をしますが、比重の軽い生徒は献血できません。
でも生徒たちには「あなたの血は比重が軽くて献血できない」といわれると「やったー」とかいって喜びます。
なにを「やったのか」実は何もしていないのですが、彼女たちには「やったー」なのですね。
この気持ちが何となくわかります。「かわいい」というしかない生徒たちです。

献血を初体験する勇気を持ったけれど、献血のあとに貧血を起こす生徒も少なくありません。
しばらく横になっているとすぐに回復するのですが、この生徒たちも「かわいい」のですね。
「勇気を持って献血にチャレンジした」ことを誉め称えて抱きしめたい感じになります。

献血をした生徒たちは腕に包帯を巻いています。
これは「勇気を持って献血をした」という勲章みたいなまぶしさをもっています。

でもなぜか、最近献血者は来なくなってこの生徒の「かわいい」光景にも出会えなくなりました。