グラミン銀行とムハマド・ユヌス


 中学2年の「倫理」の授業で「世界と地球の困った現実」というテーマで、飢餓と貧困について生
徒とともに考えている。その下調べをしていたら、こんな Good News を発見した。これは生徒にも
伝えなくてはと思ったが、その前にこの BLOG で紹介しよう。


ユヌス 「グラミン銀行」とその創始者ムハマド・ユヌスの話しである。これはすごい、感動的であ
る。こんなことが可能なのだ。

 ムハマド。ユヌスはバングラディッシュの経済学者。かれはフルブライト留学生としてアメリカに
留学、経済学を学ぶ。しかし、そこで学んだ経済学は貧困の解決には何の役にも立たなかった。
 バングラディッシュは世界の最貧国の一つ。一人あたりのGDPは日本の100分の1にも満たな
い。世界から多額の援助をもらっているが、それも功を奏さず「世界の善意の墓場」とも呼ばれてい
る。

 その国で、彼が貧困層のための「グラミン銀行」を始めたきっかけは竹細工をして生計を立ててい
た女性に6ドルの融資をしたことであった。それ以前は、高利貸しからお金を借りて材料費を工面し
ていた彼女は売り上げの多くを利子にとられ、働いても働いても貧しさから抜け出られなかった。し
かしこの6ドルの融資が彼女を貧困から抜け出すためになった。
 これをっかけに「貧困者のための少額無担保融資制度(マイクロ・クレジット)を始める。

 この銀行は、普通の銀行とあらゆる面で考え方が逆であった。
「貧しい人にしか融資しない」
「銀行員が地域をまわって借り手を訪問し、返済計画について共に考え、時には返済のしかたについ
てのノウハウを指導する」
「信用こそ基本的人権
「借りては5人組を作り、返済計画を立て、返済には共同で責任を負う」
 「グラミン」とはベンガル語で「農民」を意味する。
 
 グラミン銀行の借り手の9割以上が女性である。働いてもはたらいても貧しさから脱出できない貧
困の悪循環を断ち切ろうとする決意は、男性よりも女性の方がずっと強いという。
 そして銀行の株主の97%は同時に銀行から融資を受けている人たちである。
 これは慈善事業ではない、ちゃんとしたビジネスなのである。

 グラミン銀行には16条のスローガンがある。これもまたすごい。

 グラミン銀行のシステムはいまや世界の60カ国に拡大し、利用世帯数は4000万、借金の返済率は
97%というから、不良債権に悩むどこぞのメガバンクと対照的である。
 さらに、グラミン銀行が女性のみが借りられる携帯電話会社「グラミフォン社」を立ち上げ、バン
ラディッシュの第2の企業にもなっている。
 ユヌスの目標は「世界の貧困人口を2015年までに半分にすること」と言うからまたすごい目標であ
る。ユヌスは、アジアのノーベル賞といわれるマグサイサイ賞を受賞し、ノーベル平和賞の候補でも
ある。